治療所で午後診の準備をしているときに、突然若い白人の女性が入ってきました。
どうやらウクライナ人のようで、手には可愛らしい箱をもっています。
その箱を開けると中からキーホルダーやミサンガのような装飾品などがたくさん入っていて、一つづつ商品の説明を始めたのです。
これらはウクライナの民芸品で、購入するとウクライナを支援する義援金になるといいます。
商品のお値段は1000~2000円で割高な感じがしましたが、義援金になるのなら妥当なのかなと感じました。
ウクライナを支援する気持ちはあり、見慣れない白人女性が困った顔をしているので、
できれば協力してあげたい。
ここで脳裏によぎったのは大阪で勤めていたときのことでした。
今回と同じように黒人の男性が突然訪れてきたことがありました。
手にはクリアファイル。
中には貧しいアフリカの難民たちの生活の様子などの写真が収められていて、同じく手にしている民芸品を購入したらそれが支援金になるというのです。
僕は何の疑いもなく助けたいと思って民芸品っぽい紐のついた小物入れを購入し、結構気に入って使っていました。
数日後それが支援金詐欺としてニュースになり、僕の善意は悪意によって搾取されたのだと知りました。
そして今、目の間にいるピュアそうな白人女性はあの時と同じ状況であきらかに怪しいのです。
しかも箱の中から出てきたウクライナ産であってほしいノートは、近くの100均で見たことのあるもの。
僕はウクライナ人かどうかも不明なこの女性に、以前このようなことがあったと先述の支援金詐欺について話しました。
そして、支援団体や身分を証明するものがなければ協力できない旨を話すと、
「ごめんなさい」といってニコッと去っていきました。
治療所を出て隣のテナントへ入っていく困った表情の彼女を見てると、個人で故郷への支援を募っている留学生っぽくも見えて、
詐欺だと決めつけてしまい、なんとも言えないモヤモヤした気持ちになってしまいました。
いぬくま!