介護支援専門員(ケアマネージャー)の実務研修において、現場の居宅介護支援所などで、実際のケアマネジメントプロセスを見学する実習をうけてきました。
見学実習を受入れていただける事業所を探すところから始まり、日程を調整していただいて4日間しっかりと学ばせていただきました。
百閒は一見にしかずとは言ったもので、とても内容の濃い充実した実習でした。
これから見学実習を受けられる方に参考までに、実習の内容や感想を書きとめました。
目次
ケアマネジメントプロセス見学実習
- 受講生自ら受入事業所を探して、実習の趣旨を説明し協力を依頼。
- 「誓約書兼実習依頼書」を事前に提出して、「実習に関する同意書」を受け取る。
- 約束の日時に受入協力事業所に出向き、3000円を支払い見学実習をうける。
という流れで実習をさせていただきます。
実習にあたっての心構え・事前準備
この実習ノートにも手引きが書いてあるのですが、
実習に臨むにあたって学習する目標を設定していておいたほうがいいでしょう。
見学実習は基本的に受け身の学習になるのですが、心構えとして目標を設定することでより実のある実習となると思います。
ボクにとっては初めての居宅介護支援事業所ということで、やはり現場でのケアマネジャーの「業務の流れの全体像を把握したい」という目標を設定しました。
ケアマネジャーが利用者さんやその家族とどう関わっているのか、他の事業所や他の職種のかたとどう連携しているのか、そのあたりの実際の様子をしっかりと確認したいと思いました。
また、もう一つの実習である「アセスメント及びケアプラン作成実習」に先立って、生のサービス計画書などをしっかりと見てみたいという思いもありました。
見学実習で学ぶこと
担当していただくケアマネジャーさんから、それぞれの場面の説明を受け、実際の現場を見学します。
- インテーク
- アセスメント
- プランニング
- サービス担当者会議
- モニタリング
- 給付管理
- 地域ケア会議
限られた日程の中で、ケアマネジメントプロセスのすべてが見学できるわけではないので、タイミングがあわなかった場面は口頭での説明をうけます。
見学実習の感想
担当していただいたケアマネージャーさんから「どうしてケアマネジャーの資格を取ろうと思ったのか?」ということをたずねられました。
正直に「実務に就く可能性はとても低い」ことと、資格を有することで「間接的ではあっても介護保険の制度を使われる利用者さんのために役に立てると思っている」ことを伝えました。
事業者側からすると、実際に実務につく見学者を受け入れたいとは思うのですが、ありがたいことにガッツリと実務に就くための実践中心のカリキュラムを組んでいただいた印象です。
4つの居宅の訪問に同行させていただいて、インテークやアセスメント、モニタリングの実際を見学することができました。
それぞれの家庭で介護があり、課題があり、悩みやそれぞれの背景があり、多様な生活実態に触れることができました。
結局、日程的にタイミングが合わなかった地域ケア会議以外はすべて見学させていただきました。
サービス担当者会議では困難事例も・・・
その中でも、サービス担当者会議では、とても印象に残るような困難な事例を目の当たりにしました。
複雑な事情をもつ利用者さんのために、多職種の方が尽力される姿を見て、ケアマネジャーを中心にした介護保険によるセーフティーネットが機能していることを垣間見ることができました。
ケアマネージャーさんが「みんながついているから安心してね」と利用者さんに声をかけたときの、利用さんの安堵された表情がとても印象的でした。
至近距離でのケアマネージャーの働きぶりを見学できる
見学実習では、少し離れた場所で見学させていただくというスタイルを想像していました。
しかしながら、全体を通してボク自身を一人のケアマネージャーとして扱っていただいたこともあり、超間近でケアマネージャーと利用者さん・家族・他職種とのかかわり方を学ぶことができました。
利用者さんを囲んでお話をする場面でも、利用者さんとケアマネジャーの間に入っているぐらいの距離感でしたw
また事業所内でも、一職員として朝礼から参加させていただき、業務の流れを全体的に学ぶことができてとても勉強になりましたw
提出書類の記入
いくつか実習後に提出しなくてはならない書類があります。
ケアマネジメントプロセス見学実習では「見学実習報告書」というそれぞれの場面においての振り返りの感想を記入する欄があるのですが、
数行程度記入するものぐらいなので、見学実習を終えた後ならサクッと記入できると思いますw
あとは領収書を貼り付けたり、事業所に記入していただいた書類を提出する感じですね。
もう一つの「アセスメント及びケアプラン作成実習」の提出書類のほうがエグイ感じになっています。
ケアマネジメント見学実習まとめ
ケアマネージャーは心のよりどころ
訪問したお宅でご主人を介護している奥様がおっしゃっていたことで、大変印象的だっとことがありました。
ご主人の症状が軽いうちはなんとか一人で介護ができていたそうですが、突然症状がすすみ介護度が高くなって、介護する負担が相当なものになったそうです。
それでも一人でなんとか介護を続けていたそうですが、トラブルが次々と起こりいよいよ追い詰められたそうです。
奥様はそれでパニック状態となって、自分の事をすることもできなくなり大変になったときに支えになったのが、ケアマネージャーの存在だったそうです。
また、事業所で待機中に担当していただいたケアマネージャーさん以外の人たちの電話対応などを聴き耳たてていたのですが、
精神的に不安になっていた利用者さんがケアマネジャーさんを頼って電話をかけてこられた場面がありました。(たぶん)
慣れた感じでやさしく落ち着かせていた姿をみて、利用者さんやその家族にとってケアマネージャーは心のよりどころにもなっているんだと実感しました。
今回の見学実習では教科書で学んだことだけがケアマネージャーの役割ではなく、現場では多種多様な事例があってそれぞれに対応しなくてはならない難しさを痛感しました。
選んだ事業所がよかった
今回見学させていただいた事業所は、ケアマネージャーが10名在籍されている事業所でしたが、うちお二人は以前に治療させていただいたことのある方でしたw
みなさんうちの治療所を認識していただいていたので、ボクの立場を理解してくださって助かりました。
治療所を開設してこの歳になると、他の事業所を見学するという機会はほぼ失われてしまうので、そういった意味でも大変貴重な経験となりました。
とにかく、実習生の受入れは事業所としては負担のかかることだったとは思うのですが、忙しい業務の中で最大限の配慮をしていただき感謝しかありません。
いぬくま!