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てんちゃんありがとう。

保護犬だったTenは、外の世界をほとんど知らない子でした。

最初から車に乗るのが苦手で、不安そうに震える姿を見て、
きっと何かつらい経験があったのだろうと感じていました。

「いろんな景色を見せてあげたい」

そんな思いとは裏腹に、臆病な性格もあってなかなか車に慣れてくれません。

獣医さんに相談したり、サプリメントを試したり…。
それでも1年以上は苦手なままで、

「この子はずっと車が怖いままかもしれない」と諦めかけました。

けれど、家族と一緒に過ごす時間を重ねる中で、
少しずつ変化が訪れたのです。

気がつけば、車に乗ることは特別なことではなくなり、
むしろ大好きな時間へと変わっていました。

散歩に行くとみせかけて車の前まで行き、
扉の前で座り込んで「乗せて」とおねだりするほどに。


Tenが我が家に来たのは、息子が生まれるタイミングとほぼ同じ頃。

静かだったはずの第二の犬生は、
一気ににぎやかで、あたたかい毎日へと変わりました。

息子の成長とともに、
初めての景色や体験を一緒に過ごしてきた時間は、
何にも代えがたい宝物です。


実はTen、
「扁桃の扁平上皮癌」という病気と闘っていました。

喉の内側が少しずつ狭くなり、
食事や呼吸が難しくなっていく、
進行が早く転移もしやすい、とても厄介な病気です。

進行した状態で発見されることの多い病気で、Tenもそうでした。

残された時間はわずかで、
経過によっては安楽死という選択も考えなければならない――
絶対に避けたい、そんな現実とも向き合う必要がありました。

「少しでも長く生きてほしい」という気持ちよりも、
「苦しまずにいられるなら楽にしてあげたい」と思うようになるほど、
大変な病気だったのです。


2026年4月6日
そして迎えた最後の時間。

それはどこか、安堵を感じさせてくれるものでした。

いよいよ呼吸が苦しそうで、「今日が最期かもしれない」と悟ったとき、
「車でどこか行こうか」と声をかけると、

しっかりと「行きたい」という意思を感じました。

自分で立ち上がるのもやっとの状態なのに、
それでも必死に、僕についてきてくれました。

車の扉の前で尻尾を振りながら、ふらつき、
抱きかかえて車に乗せたその瞬間、

すっと力が抜けて、静かに旅立っていきました。

まるで、どこか楽しい場所へ向かうような、
前向きな気持ちのままで。


闘病中、息子が言ってくれた言葉があります。

「Tenちゃん、身体がなくなっても、いなくなるわけじゃないよ」

その言葉に、救われました。

目に見える形はなくなっても、
一緒に過ごした時間や思い出、そして存在そのものは、
決して消えることはない。

息子とTenは、それを教えてくれました。
小さな子どもの感性は、神様に近いのかもしれませんね。


Tenは、7歳で我が家に来て、12歳で旅立ちました。

一緒に過ごせたのは5年という時間。
決して長いとは言えないかもしれません。

その5年間にたくさんの幸せを詰め込むことができたと思って後悔はありません。

でも、「もっと一緒にいられる」と、どこかで思っていました。

それでも、繁殖引退犬としての背景を考えると、
Tenは本当によく頑張って、長生きしてくれたのだと思います。


たくさんの怖かったものを乗り越えたこと。
家族として過ごした時間。
そして、最後まで前を向いて旅立っていった姿。

目を瞑ればそこに存在している。

すべてが、かけがえのない宝物です。


このブログやSNSを通して、
Tenのことを知ってくださった皆さまへ。

これまであたたかく見守っていただき、本当にありがとうございました。

そして、てんちゃんありがとう。

いぬくま!

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