幸せになるための繁殖引退犬の避妊手術
繁殖引退犬の避妊手術
ごはんまだぁ?
Tenは保護された7歳の繁殖引退犬。
どれだけ子犬を産んだのか、いつまで産まされていたのかは全くの不明。
お腹には帝王切開の傷跡、乳腺腫瘍に歯はボロボロ・・・母体に無理を強要されていた可能性は高そうです。
子宮蓄膿症など将来の疾病の予防だけでなく、繁殖犬としての完全な終止符を打つ意味でも、
避妊手術はもちろん必要なことだと考えていました。
我が家に迎えてまもなくヒートになりそのタイミングをはかっていたのですが、先日無事に避妊と乳腺腫瘍を切除する手術を終えました。
Tenは繁殖犬として何回か正常分娩をして、最後のお産が帝王切開だったので引退したものだと勝手に想像していたのですが、
それは間違いで、実際には3回の帝王切開が行われていました。
するべき?避妊手術への葛藤
手術当日の朝、散歩の途中で遠くを見つめるTen
いざ手術の日が決まると、果たしてこれで良かったのかという葛藤が湧いてきました。
人のためにTenの身体を使って子犬を産まされて、今度は疾病の予防でTenのためといえ子宮と卵巣を摘出する避妊手術。
そこにいつもTenの意思がないということに、すごくひっかかってしまったんです。
かわいそうだな、と。
何かを察したのか顔を覗くと見たことのない表情w
繁殖犬じゃなかったらそんなことも考えもしなかったのでしょうが、
Tenに相談もなくやっちゃっていいのか、疾病の予防すら人のエゴなんじゃないかと・・・。
しかし、里親としてきちんとした医療をうけさせ健康でゆっくりとした日常を過ごさせる責任があります。
結局答えはわからないまま手術当日をむかえました。
幸せになるための手術
そして、無事に手術をしていただきました。
術後にその話を先生にしようとしたところ、先生も特別な感情を抱いてくれてたみたいで、
疾病の予防とはいえ去勢や避妊手術で健康な身体の子にメスをいれるのは毎回ためらわれる、繁殖犬だった過去を断ち切る意味でも前向きな気持ちで手術に向き合うことができた、
と先に話して下さいました。
その言葉だけじゃなく、先生も看護師さんもTenの幸せを心から願ってくれているのが伝わってきて、
ボクとSeikoのTenの幸せを願う気持ちも、こんな感じでTenに伝わってくれてるのかなと思い、
手術してもらって本当によかったと思いました。
3回の帝王切開
手術よく頑張ったね!
摘出した子宮と卵巣を見せてもらいました。
子宮と卵巣には病的な病変はありませんでしたが、子宮体には複数の切開痕があり大きく3つ確認できました。
これは少なくとも3回帝王切開をしたことを物語っているそうです。
また切開痕があると近接する腸間膜や臓器に癒着する可能性があるそうですが、幸いにもそれらはなかったそうです。
想像していたよりもずっとずっと小さかったTenの子宮、よくがんばったねありがとねとサヨナラしました。
なんだかよくわからない感覚なのですが、
今回摘出されたTenの子宮と対面したことで、自分のなかでけじめというか気持ちの決着をつけることができました。
ずっとTenを繁殖犬として扱われていた怒りや悲しみに気持ちがもっていかれていたのですが、
今はTenが生んだ尊い命がどこかの家庭で今日も幸せを運んでいると思うと、嬉しく思える自分がいます。
エリザベスウェアが合わない?
サンタクロース?
Tenは臆病な子なのでエリザベスカラーは嫌がるかもしれないと思って、エリザベスウェア(術後着)を用意しました。
どうやら一般的なビーグルの体型ではないので、サイズがうまくあってないようです。
首周りや胴回りに合わせると着丈が長すぎるので、ちょっと詰めて着させました。
術後の夜は座ることができても横に寝ることができず、一晩中うろうろソワソワしていたのですが、
翌日以降はグッスリ眠れるようになりました。
避妊手術に関して色々と葛藤もありましたが、幸せになるための手術でその気持ちはTenに伝わると、
心の落ちどころを見つけることができました。
いぬくま!