繁殖引退犬Tenの第2の物語がはじまる


繁殖引退犬Tenの第2の物語がはじまる

Tenとの出会いは唐突でした。

ワンコ好きのボクとSeikoは、ワンコと一緒に暮らすということはごく自然なことだと考えています。

以前からQooが旅立ったとしても「いつかは保護犬ちゃんを迎え入れたいね」という思いは全く同じでした。

そのいつかは思いかけずにおとずれたのです。

保護犬カフェ

先日、治療所でワンコのことを患者さまとお話していると、近くに保護犬ちゃんとふれあえる保護犬カフェがあるということを教えていただきました。

Qooが旅立って間もなく、気持ちの整理もついてない中、他のワンコを見るのはあまり前向きになれなかったのですが、

思い切ってカフェのホームページを見てみると、里親を待つ数匹のかわいい保護犬ちゃんたちが在籍しているのを知ったのです。

しかし、その中にビーグルはいません。

やっぱり自然とビーグルをQooの面影を探してしまう自分がいるんですよね。

出会ってしまった!

 保護犬カフェにて-Twitterより

そこで保護犬カフェの運営元である保護犬ちゃんや保護猫ちゃんの里親を探す活動をしているNPO法人のホームページを調べてみると、

大阪でも保護犬カフェを運営していることを知り、そして7歳になるビーグルの女の子「ゆりよ」がいるのを見つけたのです。

出会ってしまいました。

それからはSNSで「ゆりよ」を毎日チェックする日が始まります。

自宅でも治療所でもどこでも。

Qooがいなくなった寂しさを埋めることをできずにいた最中、「ゆりよ」が近くにいて里親を待っていることは、

ボクたちにとって大きな希望となりました。

そして・・・

気がつけばお家に連れて帰っていたのです。

繁殖犬ゆりよ

保護犬カフェにて-Twitterより

「ゆりよ」はブリーダーのもとでビーグルの子犬を産むいわゆる「繁殖犬」でした。

繁殖を引退した子はブリーダーが終生飼育するか、ブリーダー自身が里親を探すのが一般的なのですが、

「ゆりよ」はブリーダーから保護団体によってレスキューされた子です。

7歳ということからも繁殖できなくなる年齢になるまで人間に利用され、悪徳なブリーダーの管理下にいたということなのでしょう。

保護元にどんな暮らしをしていたのかブリーダーのことをたずねても、そのような契約なのか詳しいことは教えてもらえませんでした。

引退したから里親に出す、というのはあまりにも酷すぎますよね。

ペットブームの裏で不幸なワンコがいることを忘れてはなりません。

子犬をペットショップから迎えないという選択は、不幸な繁殖犬を減らす一歩でもあります。

Tenのテンは天使の天

出会ってしまってから家族になるまでは一瞬でした。

もう、繁殖犬「ゆりよ」ではありません。

人間のために一生懸命子犬を産んで育てては、すぐに我が子を取り上げられてきたことが、普通の生活だと思って過ごしてきたのでしょう。

これからは心機一、ただ幸せであたたかい家族に囲まれた暮らしをして欲しいということで、

「てん」と新しい名前をつけることにしました。

実はQooが可愛すぎて、かげで「天使ちゃん」「天ちゃん」と呼んでいたのですが、

「てん」はそのQooのセカンドネームからいただいたのです。

Tenはポッチャリで足が短い幼児体型、ほんとうに天使みたいな存在です。

Tenのテンは天使の天、我が家へきてくれたTenてん天使なのです。

すべてが新鮮なTen

最初は慣れない場所へやってきて戸惑っていましたが、お庭が気に入ってくれたみたいで家の周りをクルクル走り回っていました。

太陽の光、土の感触、風の吹く感覚、鳥の鳴き声、アリ、やたらと干渉してくるボクとSeiko・・・

すべてが新鮮なようで立ち止まってじっくり見入っているのが印象的でした。

多くの時間を閉鎖的なゲージの中で過ごしてきたのでしょう。

お庭でひとしきり遊んだ後は、ベンチベッドを出してその上でみんなと一緒に寝ました。

めくるめく環境の変化にただ身を任せるだけのTenの姿に、切なくなる気持ちと幸せにしたいという気持ちで胸がいっぱいになるのです。

牛のよう。

このわがままボディーがたまらなく愛おしい。

Qooのいた場所にTenがいるのはとても不思議な感覚ですが、安心して眠ってくれると嬉しくてたまりません。

 
 
 
 
 
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Tenのお腹には痛々しい帝王切開の跡や乳腺には手術痕があり、健康面の心配もありました。

保護元でも獣医師による診察はあったようですが、詳しい病気を見つけるような検査は受けておらず(病気が見つかると里親が見つかりにくいから?)、

Qooもお世話になった大好きな先生に診てもらったところ、気になるところはいくつかありますが大きな心配はなさそうで安心しました。

ゆっくり時間をかけてTenと一緒に

Qooとの別れ、Tenとの出会い。

何が起こっているのかわからないスピード感で、涙腺が崩壊してもう大変。

Tenと出会うことはQooもきっと導いてくれたと思うのです。

我ら人間(悪徳ブリーダーは人間ではない)によってその犬生を翻弄され続けてきたTenを、

もう2度と諦めたり不安になったり不幸にならないように、しっかりと支えていきたいと思います。

いまのところ逆に思いっきり支えられていますがw

ここにTenの第2の物語(犬生)がはじまりました。

 

いぬくま!