鍼灸師や柔道整復師のための介護支援専門員(ケアマネージャー)資格取得のススメ


鍼灸院や整骨院の治療所には、さまざまな背景をもたれた患者さまが日々ご来院されます。

デイサービスや訪問看護などの介護サービスをすでに利用されている方、これから利用を考えておられる方。

または居宅において介護をしている家族の方や、介護関連施設で働いている職員の方。

特にボクの治療所の近辺には介護関連施設が多数あり、介護職員の方が多く来院されます。

実際には介護を必要とする側の患者さまよりも、介護を提供する側の患者さまの利用が多いですよね。

そういったすべての患者さまのご相談に少しでもお役にたてるように、介護の専門職であるケアマネージャーの資格の取得を目指しました。

鍼灸師や柔道整復師のための介護支援専門員(ケアマネージャー)取得のススメ

鍼灸師や柔道整復師もケアマネ資格取得可能

介護業界と鍼灸整骨業界は親和性が高く、昨今では治療所に居宅介護支援事業所や通所介護(デイサービス)等を併設して、他院との差別化を図るところも多く見られます。

そういった展開も視野に入れて、ケアマネージャーについて調べてみるとボクも受験資格があることを知り、昨年の受験に挑戦しました。

資格があるともう少し言葉に重みが出るかもしれませんねw

今年、平成30年度の「第21回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)」は、10月14日(日)に行われます。

受験の申し込みはすでに始まっているので、今回ケアマネージャーの資格取得について、ボク自身の体験をもとに紹介させていただきます。

介護支援専門員(ケアマネージャー)とは

正式には「介護支援相談員」といいます。その名のとおり介護を支援し相談する専門家ですが、その役割は多岐にわたります。

支援が必要な人や、その家族などからの相談に応じて、その人が心身の状況に応じて最適なサービスが受けられるように、総合的なコーディネートやマネジメントを行います。

介護保険制度を推進していくうえで、支援が必要な人やその家族と、介護サービス等を提供する施設や業者とをつなぐ橋渡し的な役割を担っているのです。

具体的には、利用者との面談、ケアプランの作成、介護サービス等を提供する施設や業者との調整、モニタリングの実施などを行います。

ケアマネージャーの受験資格

保健・医療・福祉の分野で実務経験がある人が取得できる公的資格です。

①医師、歯科医師、看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、歯科衛生士、鍼灸師柔道整復師あん摩マッサージ指圧師、栄養士などの資格をもち、そのうえで実務を5年以上経験した人。

②生活相談員、支援相談員、相談支援専門員などとして、相談業務の実務を5年以上経験した人。

保健・医療・福祉の資格を取得する期間と、資格取得後の実務経験5年をあわせると、取得に結構な時間のかかる資格です。

※平成29年度まで、資格を有していなくても介護等の業務に10年以上従事している人は受験資格がありましたが、平成30年度からは撤廃されます。

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)

ケアマネージャー試験の申込方法

ケアマネージャー試験は、各都道府県が実施します。

勤務地として現在従事している都道府県、または業務に現在従事していないが現住所を有する都道府県で申し込みをします。

各都道府県によって、申し込みの日程や方法が異なります。
受験の申し込みについては、5月下旬~6月下旬頃が各都道府県への申し込みの期間になっていますので、詳細は各都道府県のホームページをご確認ください。

各都道府県の実地案内ホームページ(クリックするとページにジャンプします)

この手引き(第20回兵庫県)を手に入れて、それに沿って必要書類を用意して手続きを進め願書を提出します。

ケアマネージャー試験の内容

試験は毎年一回、各都道府県にて10月に行われます。

試験日:平成30年10月14日(日曜日)午前10時開始

合格発表:平成30年12月4日(火曜日)予定

出題形式:5つの選択肢から正しいものを2つまたは3つを選ぶマークシート方式
問題数:60問

試験時間:120分

合格基準:正解率約70%以上

合格率:10~20%

ケアマネージャになるための勉強方法

独学でも可能!

ボクは鍼灸整骨院でオードソックスなスタイルの仕事をしているので、施術の中で機能回復訓練員として携わるといっても、介護の知識は非常に乏しいのが現実でした。介護といえば学生時代に実習で経験した特別養護老人ホームでのお手伝いぐらいです。

鍼灸師や柔道整復師の資格があるからといって、試験科目に解剖学等があるわけではないのでケアマネージャ―の試験勉強で特に有利になることは全くありません。なので受験資格のある各資格の中でも特に勉強をしなければならない職種だと思われます。

ボクは登録販売者の試験が8月20日にあったので、それが終了してから試験日の10月8日までの間が試験勉強期間になりました。約1カ月半でしたが独学で一発合格できましたので参考までにその方法を書きます。

①テキストをとにかく読む。

晶文社「ケアマネージャー基本問題集」上巻・下巻 各¥1800

こちらのテキストを利用しました。理由はアマゾンのケアマネージャーのテキストのカテゴリーで当時ベストセラー1位商品だったからですw

このシリーズは何種類かありましたが、この赤と青の2冊で十分だと思います。

この2冊だけをくりかえし読み続け、5周ぐらい読んで暗記しました。

②YOUTUBEの動画をひたすらかけ流す。

某英会話教材のようにひたすら聴いて、深層心理に焼き付ける方法ですw

通勤はもちろん、暇さえあれば何十回も見て聴いていました。

この動画の吉川正人先生の声、話すスピード、丁寧でわかりやすい授業がボクにはとてもあっていました。テキストで分かりにくかった所を、吉川先生の授業でかなり理解することができました。しゃべりが心地よくて眠たくなることも・・・聞き流すだけじゃダメですよw

吉川正人のケアマネ対策講座。80本ぐらい動画をあげていらっしゃいます。

③ネットで過去問をあさる

今は素晴らしい時代です。ネット環境さえあれば問題集など購入しなくとも過去問が出来ます。過去問.comというサイトを利用しました。

過去問.com(クリックするとページへジャンプします。)

試験当日の様子

ボクは兵庫県で受験したので、神戸市灘区鶴甲にある神戸大学国際人間科学部で試験を受けました。

ボクの受けた第20回の試験は、「資格をもたないが介護等の業務に10年以上従事している人」の最後の試験だったからか、受験者数はとても多く感じました。60問しかないので1問の重みのプレッシャーとの戦いでした。

合格後は介護支援専門員実務研修を受講しなければならない

介護支援専門員実務研修受講試験というだけあって、実はケアマネーシャー試験とは実務研修を受講する権利を得るための試験なのです。実務研修を修了すると「介護支援専門員証」が交付されケアマネージャーとして従事することができるようになります。

つまり、試験に合格しても各都道府県で実施される実務研修を受講終了しなければケアマネージャーにはなれません。

ボクの試験の結果ですが、無事に合格できました。ご丁寧に試験の得点まで通知してもらえます。第20回の合格ラインは保健医療福祉サービス分野の合計23点以上、介護支援分野15点以上でした。

よく頑張りましたねw

合格結果通知書とともに研修受講日の案内が同封されていました。

合格の喜びから一転、この研修の日程をみて膝から崩れ落ちます。都道府県ごとに研修期間が異なり、兵庫県は1月から始まるのですが、いきなり1月の平日に4日間もあるのです。

てっきり研修は土曜か日曜って考えていたのでびっくりしてしまいました。ただでさえ施術日の少ない1月に、平日の4日間も研修でお休みして患者さまに迷惑をおかけするわけにはいかず、残念ながら今回の研修を辞退することにしました。

研修を辞退したからといって試験に合格した事実は消失しないので、受講辞退届をその都度提出すれば何年先でも再受講は可能のようです。ボクは第21回の実務研修で再受講予定です。

まとめ

試験に合格しても研修があります。各都道府県によって研修の日程や内容が異なりますので受験前に必ず確認してください。研修は平日に行われることが多いので仕事の休みを確保できるようにしておきしましょう。

平成30年度から資格要件に変更があり、今年から受験できなくなっている人もいて、ケアマネージャーの資格は常に見直しが図られています。今後も資格要件がいつ変更になるかわかりません。ひょっとしたら鍼灸師や柔道整復師等の資格があり、5年以上の実務経験もあるのに資格要件を満たさなくなる可能性もあるので、現時点で資格要件を満たす人は早めの受験をおすすめします。

合格率の低さから受験を敬遠される人も多いと思います。しかし数字に惑わされないでください。ボクの主観ですが試験内容はそれほど難しいものではありません。「勉強する時間を作れるか作れないか」それだけです。それができていれば不安に思うことはありません。

ほとんどの人が介護の現場で働きながら勉強時間が不十分だったり、何とかなるだろうという意識の低さが合格率に反映されていると考えられます。つまり合格率の低さは意識しなくていいのです。

と、調子のってしまいましたがボクはまだケアマネージャーにはなれていませんw

 

いぬくま!!