【持続化給付金】鍼灸院・整骨院が受給する方法を解説してみた


新型コロナウィルスによる経済活動の低下により、売上が大幅に下がって経営危機に瀕している企業が多数あることでしょう。

鍼灸院・整骨院業界も、感染者の濃厚接触のリスクがある職種としてその影響は深刻であり、

緊急事態宣言が発令され患者さんの来院数が極端に減ったという声があちこちから聞こえてきます。

今回は、鍼灸院・整骨院の経営者が、持続化給付金を受給するために必要なことや方法を解説してみました。

持続化給付金とは?

法人200万円・個人事業主100万円を上限に支給

最大受給額が、法人なら200万円、個人事業主なら100万円という「持続化給付金」が経産省から発表され、5月1日から申請の受付が開始されました。

事業全般に自由に使えて返済不要

先述したとおり、コロナの影響で売上が下がった法人や個人事業主を救済するための給付金

鍼灸院や整骨院の経営者も、要件を満たす場合は支給をうけることができます。

「給付金」は「融資」と違って返済する必要がないので、事業全般に自由に使うことのできる返さなくていいお金です。

給付を受けるには申請が必要

ただし、申請しないと給付をうけることができないので注意が必要です。

申請期間は2020年5月1日~2021年1月15日までということなので、まだあせる必要はありません。

持続化給付金の支給額の算定方法

法人は200万円個人事業主は100万円を上限とし、

支給額は前年の総売上(法人の場合は前期の総売上)から、前年同月比で50%以上売上が落ちた月×12カ月を引いた額が支給されます。

2020年1月~2020年12月の月の中から、前同月比で売上が50%減少した月を自由に選択できるので、

より多くの受給額をもらうためには、前年同月比50%以下で一番売上が低い月を選択するべきです。

資金繰りに余裕があり上限額に満たない場合は、より売上が減少する月がないか様子をみたほうがいいかもしれません。

持続化給付金の要件

最も気になるのが持続化給付金をうけるための要件ですよね。

新型コロナウィルス感染症の影響により売上が減少していて、今後も事業継続する意思がある、ということが大前提です。

単なる怠慢による経営不振などでは条件を満たすことにはなりません。

①ひと月の売上が前年同月比で50%減少

2020年1月~12月のなかから、前年同月比でひと月の売上が50%以上減少した月が1つでもあれば対象となります。

たとえば、2019年4月の売上が100万円で、2020年4月の売上が50万円以下であれば要件を満たすことになります。

しかし、健康保険を取り扱う整骨院の場合は、受付でいただく窓口負担金と保険請求による振込金の合計が実際の売上となるので、少々ややこしく詳しくは後述します。

②2019年以前から事業による収入を得ている

2019年以前から開業してる鍼灸院や整骨院が該当します。

開業して1年未満で、前年同月比が計算できない場合でも大丈夫です。

2019年1月~12月に開業した場合は、2019年の月平均の売上より50%減少していることが条件となります。

たとえば2019年10月に開業し、10月10万円、11月30万円、12月50万円の売上だったと仮定すると、2019年の月平均の売上は30万円となります。

2020年4月の売上が15万円だった場合、2019年の月平均の売上が30万円なので50%の売上減少となり受給の要件を満たすことができますね。

支給額の計算は【2019年の総売上÷開業後月数×12-対象月の売上×12】となり、この例であれば、90万÷3×12-15万×12、360万-180万=180万となり、個人事業主は100万円、法人では180万円の支給となります。

③法人の場合は資本金10億円未満の会社、または常用する従業員が2,000人以下

鍼灸院や整骨院の経営者のほとんどが個人事業主だと思いますが、

手広く鍼灸院・整骨院グループを経営するような、法人で登録されている経営者にも支給されます。

要件を満たさない資本金10億円や従業員が2,000人を超えるような巨大グループはめったに無さそうですよね。

そもそもこの要件に該当しない法人で売上が50%以上減少したとなると、もはや持続化給付金では救済されないレベルです。

持続化給付金の申請に必要な書類

法人の場合

  • 法人番号
  • 2019年確定申告書類の控え
  • 減収月の売上を示した帳簿等
  • 給付を入金する通帳の写し

個人事業主の場合

  • 本人確認書類(免許証のコピーなど)
  • 2019年確定申告書類の控え
  • 減収月の売上を示した帳簿等
  • 給付を入金する通帳の写し

たくさんのややこしい書類が必要になるのかと思いきや、意外と簡単に用意できそうなものばかりでした。

減収月を証明できる帳簿は、様式は問われず手書きのものでもOKみたいですね。

あくまでも売上で計算するため、それ以外の経費等のデータは必要ありません。

持続化給付金の申請方法

申請方法は、担当者と対面する申請支援窓口も設置されるようですが、基本的にWEB申請となります。

持続化給付金ホームページにアクセスし、マイページを作成し、申請情報と添付書類をアップして申請します。

その後、持続化給付金事務局で申請内容が確認され、通常2週間程度で登録した口座に振り込まれるようです。

ちなみに、一度給付を受けると、再度申請することはできません

>>持続化給付金ホームページ

整骨院は「患者数の減少=売上の減少」ではない!

すべて自費で施術している鍼灸院や整骨院であれば、患者数の減少と売上は比例するのでわかりやすいのですが、保険請求を行っている場合はそうとは限りませんよね。

所属している団体などで違うと思いますが、保険請求した療養費は数カ月後に振り込まれるのことになるので、患者数が極端に少なくなった月の売上が必ずしも減少するとは言えません。

緊急事態宣言が発令された4月、多くの整骨院で患者数が極端に減少したと思いますが、まだ影響の少なかった数ヶ月前に保健請求した療養費が振り込まれるのでまだ4月の売上は極端には減少していないはずです。

この場合でいくと7月あたりの療養費の振り込み額が減少するはずですが、その頃には患者数が回復して窓口負担金が多くなると、要件である売上50%減少にあてはまらないということもあるかもしれません。

おそらく緊急事態宣言が出ている4月か5月あたりの患者数が最も減少すると予想されるで、保険請求の行っている多くの整骨院の場合は、7月以降の売上で50%減少の要件を満たすことになるのでしょう。

ですが、申請する場合の対象月の売上とは、保険請求分はその月の「振り込まれた額」ではなく、「保険請求をした額」が売上となるので、注意が必要です。

つまり患者数が減少した対象月の「窓口負担金+保険請求した額」が売上となります。

持続化給付金には落とし穴がある?

保険請求を遅らせて売上を調整してはダメ

変な話、療養費の保険請求をまとめて月遅れにするとどうなるかわかりますか?

実際には減少していない整骨院の売上を、簡単に前年同月比50%以上に減少させることができると思いませんか。

持続化給付金は、緊急措置だけあって銀行などで融資をうける時のような厳しい審査がある感じでもなく、かなりスマートな給付を目的としているので、必要書類も申請方法もかなり簡潔です。

その反面落とし穴は大きく、他の業種でもかなり多くの不正が行われるような気がします。

ひょっとしたら幅広く受給させるために、行政側もあえてハードルを低くしているのかと思うぐらいです。

不正受給にはきびしい罰則が

不正が疑われると、当然ながら申請後に(支給後にでも)関係書類の提出指導や事情聴取、立ち入り検査といった調査がありうるとされています。

そこで不正受給が判明したら、給付金の返還や延滞金などの支払いはもちろん、社名や屋号なども公表されることでしょう。

もちろん悪質な場合、刑事告発されると詐欺罪になるので、資格の欠格事由に相当し職を失う結果になりかねません。

大切なことは、給付を必要とする事業者のもとに必要なだけの給付金が間違いなく届けられることです。

なので不正受給を目的とした申請は、決して行わないようにしなければなりませんね。

悪徳なセミナー(詐欺)に注意!

持続化給付金をはじめとした給付金の他にも、様々な免税処置や融資緩和などを経産省側で行っていますが、これらの情報はネットでも簡単に収集できるものばかり。

そんな助成制度を解説するセミナーが各地で行われているようです。

所属している協会などで信頼できるセミナー情報は有益だと思いますが、弱みにつけこむ悪徳な業者もみられるので注意が必要です。

この持続化給付金の申請を代行するような、見知らぬ業者は特に怪しいですよね。

「持続化給付金」まとめ

持続化給付金は、給付対象の要件を満たすことができれば、ややこしい必要書類もなく、自宅にいながらでもWEB申請できるので、意外と簡単に受給することができそうです。

まだまだ先の見えない新型コロナ禍は、鍼灸院や整骨院を経営する者にとっても大きな脅威です。

幸い持続化給付金のような、事業の継続を下支えしてくれるような制度もあるので、みんなで力をあわせて乗り越えていきましょう。

 

いぬくま!